5月14日市民説明会での市民の発言公開

2025年5月14日、東急不動産株式会社による、市民の森での風力発電事業計画の市民説明会があり、130人くらいの市民が参加し、関心の高さが伝わりました。市民から出された意見は(条件付き賛成ひとりを除いて)全員猛反対。準備書内容への質問よりは、計画の中止と白紙撤回を求める意見が多かったです。
貴重な市民の生の声で、「東急はこの議論をHPなどで公表するつもりはないのか?」という質問には「検討します」とだけ、おそらく事業者は公開しないでしょうから、ここに発言した22人の市民全員の発言を要約して、市民の意見を広く伝えたいと思います。なお会場では録音は禁止されましたので、以下の発言要旨は全て手書きのメモから書き起こしたものです。連番は発言順。
1 羽田自治会の反対決議を紹介する。①生態系への影響が甚大②騒音低周波による健康被害懸念③野生動物への影響(熊・鹿・猪)が地元農業と暮らしを脅かす④豊かな自然を子孫に伝える責任がある。以上の理由から、山と森と暮らしを壊す計画には断固反対!
2 アセスメントの調査結果全体が事業推進に都合のよいものに思える。企業の売電利益のために、気仙沼の自然を明け渡すつもりはない。山は一度壊したら、二度と戻らない。
3 市民の森駐車場近くの風車は、視野角の数字が問題ではなく、頭の上をブンブン回る圧迫感が大きい。市民の森に、市民が来なくなってしまう。
4 計画地から1.2kmに住んでいる。既設稼働中の風車からも騒音は大きいのに、この計画の風車のサイズは大き過ぎる。風車の影や低周波による健康被害が心配される2km圏内に約2500人が居住している。「風車の影は25分以内だから基準値以下だから我慢しろ」と言っているも同然。私たちは引っ越すことはできない、ここに生き続けるのだから。
5 新月ダムを市民の意向で中止したから、新月の今日の発展がある。この計画では、市民の議論が全く足りていない、進め方が性急過ぎる。「森は海の恋人」に逆行する計画だから反対。
6 公民館長の立場から意見を述べる。子どもたちの自然環境教育に、巨大で不気味な人工建造物は全く不要だ。気仙沼は自然環境教育の聖地。未来の子孫から借りている自然を破壊するな。
7 既設4基が既に稼働しているので、市民はこれ以上の風発を必要としていない。巨大風車の事故が起きることを懸念する。1万筆近い反対署名は、市民の5人に1人が反対ということだ。
8 気仙沼市の環境基本計画では、再エネは地産地消を原則としているが、東急の計画は基本的に売電で地産地消に反する。企業による事業は利益が目的であり、市の環境政策が地域循環・持続可能性を重視していることにも反する計画だ。
騒音低周波や環境破壊など「影響はない」としているが、実際に風車を建てて計測したデータではなく、しかも限られた時期と時間で計測し、数字上で予測した値に過ぎない。
9 日本気象協会が、私有地に地権者の許可なく立ち入り調査しているが大問題。また、地元部分林組合で計画地周辺の土地を伐採管理しようとしたら「砂防地だからできない」と市から言われた。そのような砂防地に、なぜ東急だけ計画が進められ許可されようとしているのかが納得できない。
10 東急は震災復興を支援したのだから、市民の森を差し出せと言うことか。
11 気仙沼の母なる山、市民の憩いの場に計画したことは、気仙沼への敬意がなく冒涜だ。水源の山でもある市民の貴重な自然資産だ。市民の森の価値を永遠に毀損するような事業は、市民の尊厳を傷つけることだ。歴史的にいのちをつないできた市民の森を破壊する計画は、地域共生とは全く言えない。中止を強く求める。
12 9205筆の反対署名が、この計画が地域共生であるという前提が崩れている証拠。9205人の反対があっても、まだ強行するつもりか?白紙撤回、撤退せよ。
13 環境教育の可能性がある森林は貴重だ。青少年自然の家など、自然を壊さず生かす可能性を大事にしてほしい。
14 東急は、震災復興支援をしてくれたが、その見返りとして、風発のために森林を差し出せということなのだろうか?
16 この説明会での議論は、公開され今後の計画に反映されるのか?単なるガス抜きではないのか?今日の紛糾した議論を、HPなどで広く市民に公開してはどうか?
17 羽田部分林組合の組合長をしている。市民と行政で話し合い、市有地なのだから、市長が「この土地は貸さない」と言えば済む話。市有林をどうするかは、市民の反対の意見に基づいて、話を進めるべきだ。
18 秋田の風車による死亡事故もあった、この山には作らないでもらいたい。水質調査を、降雨期に1回調査?したと書いてあるが、これだけの簡単な調査で何がわかるのか、不信だ。降雨量10ミリ程度(強雨)の調査を数時間やった程度の調査では、防災には全く役に立たないデータだ。
19 調査は、ある時点、限られた地域と時間の計測データに基づく予測値に過ぎない。気候変動が激化している昨今、今回のように自然を無理矢理大改変する事業は、大きな自然災害のきっかけになる。市民の憩いの場である、市民の森を破壊するような事業は即刻中止をしてもらいたい。
20 この計画地にはクマタカがいるという調査結果は喜んでいる。クマタカのつがいがいなくなることのないように、絶滅危惧鳥の調査を継続して自然を大事にしてほしい。自然環境と生活環境を守りながら、それと両立できるエネルギーを考えなければならない。
21 地域の防災士をしている。豊かな森はその保水力で、災害を防いでくれている。これだけ大規模な風車を建てるのに、どれだけの植物と土壌を破壊して、コンクリートで固めるかと思うと悲しくなる。工事の規模を市民にもわかりやすいように書くべき。
22 計画地近隣の自治会長をしている。自分の居住地区の全部の住宅にシャドーフリッカーがかかることになる。現在稼働している既設4基を見学に行ったとき、騒音も聞こえ、車酔いのようにひどく体調が悪くなり「まさか健康な自分が?」と驚いた。東急の社員に「あなたの子どもを北海道松前公園のように、風車の周りで遊ばせたいですか?」と問うたら、無言で答えられなかった。自然を壊し、人体に影響を与えるような事業は、絶対反対だ。
5月22日の記者会見で、菅原茂気仙沼市長は、「住民理解が得られないと思えば土地は貸せない」と表明しました。気仙沼の母なる羽田山と市民の森、市民のウエルビーイングを守るご決断を!